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ポンパドール・パラソル:野望編

旅行記や建築の話を書くブログです。

12人の怒れる男@仙台フォーラム


「12人の怒れる男」という映画は,原作の方を昔テープが擦り切れるほど観たんだけれどこの度ロシアでのリメイクが撮られたということで,教授が出張でいないのをいい事に「落下の王国」と併せて観てきました.一日に映画を二本観るのも久しぶり.
もともとはシドニー・ルメットという監督の作品で,主演はヘンリー・フォンダ.「12人の怒れる男」とは12人の陪審員のことで,ひとりの被差別民族の少年が容疑者となっている殺人事件の評決を,個性的な陪審員たちが私情むき出しで議論していく映画.
そしてこれがすごく面白かった.ぼくが原作大好きだということを差し引いても.
原作はこちら

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パロディ
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原作との違い

  • 寒そう

原作の方は「暑苦しい密室」が舞台で,それが醸し出す不快感が見所のひとつでもあったわけだけど,今回のリメイクの舞台はモスクワのボロボロの体育館.しょっちゅう停電も起こるし…

  • 容疑者の少年にフォーカスが当たっている

今回はチェチェンの少年が容疑者で,その生い立ちや評決を待つ様子なんかの描写も加えられている.原作ではたしか,わずか一こましか出番がなかったはず.

  • 議論がより感情的・差別的,さらにアホっぽくなっている

原作の方もかなり議論が感情的だったけれど,こっちの方が感情指数がすごく高い気がする.そしてアホっぽい.

  • 論点が増えている

ここがなかなか面白いところで,評決がほぼまとまったところで陪審員長からの鋭い視点の提供があってビビる.アホな議論のあとに,ズバーッと切れ味鋭い指摘があって思わず唸ってしまう.
あとは目撃者の女性の嫉妬とかっていうのは原作にはなかったはず.

以上を踏まえた上で

今回のリメイクについて考えてみると,まずそもそもの陪審員が全員男であるという1/2^12の確率でしか起こらない*1無茶な設定の映画をリメイクしたこと(しかも既に別のリメイクがあるのに)が疑問なんだけれど,結局この映画の中での議論って,全員が男じゃないとなかなか成り立たないもんだと思うんですよね.たとえばリメイクで追加されている目撃者の女性の嫉妬云々っていう部分は,きわめて男性的な考え方でかなり決め付けに近い部分があって*2,たぶん陪審員のなかにひとりでも女性がいたらかなり反発されてしまうところだと思うんですよ.
だから,このリメイクっていうのは,原作の「12人の怒れる男」っていう無茶な設定が逆手にとられているような気がして,要するに「男ってダメねぇ…」ってことがすごく強調されてるなーとか思いました.

ぼくはこの映画,レディースデイに見に行ったからシアターには女性ばっかりだったんだけど,ときおり会場からクスクスっていう笑い声がけっこう聞こえて,なんだかいたたまれないような気分になりました.

差別とか,裁判員制度について

この映画と裁判員制度が日本ではけっこう結び付けられていることが多いんだけど,そんなことばっかり思ってるからぼくは,なんだかなーと思ったりすることが多いです.
でもなかにはちゃんと書いてあるのがあって,たとえば
破壊屋:1億2千万人の怒れる日本人
は「ごもっとも」と唸ってしまうところだったりします.
これから増えてくるであろう*3中国とかからの移民たちによる犯罪に対しての潜在的な差別意識とかはやっぱりこの映画でも人種こそ違えど重要なテーマになっている気がして,そういうことを考えると,やっぱり裁判員が6人と少なくて,しかも量刑までを評決して,さらに多数決で決定するとかっていう裁判員制度は怖いなーと思うんですよね*4.

*1:野暮だね

*2:陪審員長が最後に僅かなフォローを入れるんだけど

*3:この推測自体がアレなんだけど

*4:まだ制度自体よくわかってないので,選ばれたら頑張って勉強したいです

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