谷村智康:マーケティング・リテラシー 知的消費の技法 を読んだ

- 作者: 谷村智康
- 出版社/メーカー: リベルタ出版
- 発売日: 2008/06
- メディア: 単行本
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初めに断っておくと,この本の著者である谷村さんとは実は知り合いだったりする.高専在学中に,谷村さんの講義を受けて以来,SNSを通じていろいろやりとりをさせて頂いている.かれこれ2〜3年くらいになるだろうか.
で,その谷村さんの二冊目の著書となる本書は,ちょう面白かった!
目次
第一章 広告の終焉
第二章 広告の次に来るもの
第三章 映像ビジネスをテレビは見放す
第四章 消費者が広告費を取り戻す
これだけじゃわかりにくいと思うので,概要を簡単に述べます.
本書では,まず一章で,テレビCMのようなバラマキ型の広告やフリーペーパーの類がもう時代遅れであると断罪し,またそれが何故時代遅れであるか(時代遅れになったか)について広告費などをベースにわかりやすく解説し,また企業がどれだけ自社の売り上げを伸ばそうと腐心してるかをその販促手法を紹介した上で解説してくれています.
二章では,広告の次に来るものとして,主にgoogleを中心に現在行われている高効率な広告手法についての解説が行われている.
そして三章で,地デジが失敗である理由やテレビが斜陽産業である理由などを解説し(ちょっと寄り道?)
そして最後,四章で「消費者主導のマーケティング」について提案を行っている.
察しがいい人なら,二章までで結論が見えてしまう…というのはぼくが察しがいいからというわけではなくて,二章まででかなり最後の結論に近いところまで解説されているためだ. つまりここで提案されている消費者主導のマーケティングとは,現在googleなどが行っている手法の応用というか,視点・方向性を変えたに過ぎないものなのだ.
でも,このことが意味するのは,提案された「消費者主導のマーケティング」が“つまらない”ということではなく“実現可能性が高い”ということだと思う.実際,市場は「消費者主導」を受け入れる余地ができてきているようだし.
谷村さんは,“その健全な実現には消費者が自律的に経済に関与していかなくては”に近いニュアンスで読者に提案しているけれど,これは逆に,“自律的に経済に関与していかなくては,これからずっと搾取され続けますよ?”とも読める.搾取されるのはお金だけじゃない,これからは,プライバシーであったりもするのだ(詳しくは本書で!).
そうならない自律的な消費者になるためには,“マーケティング・リテラシー”を身につけなければならないというわけだ.その具体的な方法についても述べられているし,1,600円でこの内容にはなかなか満足感があった.
前著もオススメです.内容的には前著「CM化するニッポン」が前編,本著「マーケティング・リテラシー」が後編になっている模様.単体でも充分いけますけど.

- 作者: 谷村智康
- 出版社/メーカー: WAVE出版
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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