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ポンパドール・パラソル:野望編

旅行記や建築の話を書くブログです。

ディエゴ・マラーニ:通訳 を読んだ

通訳 (海外文学セレクション)

通訳 (海外文学セレクション)


id:ayakomiyamotoさんのエントリで,気になったので読んでみた.

概要

ジュネーブの国際機関で通訳サービスの責任者を務めるフェリックス・ベラミーは部下からの報告を受けた。16ヶ国語を操るひとりの通訳が、同時通訳中に異常をきたすという。
問題の通訳は、「全生物が話す普遍言語を発見しかけているのだ」と主張するが解雇され、ベラミーに執拗につきまとったのち失踪を遂げた。
彼の狂気は伝染性のものだった。うつされたベラミーは、奇怪な言語療法を受け、通訳が残した謎のリストを携え欧州中を放浪する事に−

ショヒョー

外国語を学ぶことは毒か薬か、複数の言語を使うことは不健全で傲慢な行為なのか。
(訳者あとがきより)

いくつもの言語が織りなすスリリングな物語。民族と個人の奥底にある本性が見えてくる。
(ラ・スタンバ紙)


などなど,オビの大仰な文句と,文字通りのスリリングな疾走感,そしてラストのぶっ飛び具合が良かった.
特に東欧中を強盗しながら練り歩き,それに快感を見出していく元・高級官僚の姿はなかなかで,ちょうどその辺から物語が(あらゆる面で)加速していき,衝撃のラストを迎えたあとのぼくは,

つ,釣られたクマー!

って感じだった!


このことについて指名手配犯で『ブコヴィナの怪物』の異名をとるベラミーさんは

わたしは濡れたタイルにくずおれ、涙を流した。あれほど怒りをこめて泣いたことは一度もなかった。

とP.253で証言している.



とはいえ,そのラストを含んでも除いても,かなり面白かった.
随所にみられる多言語習得者に対するベラミーの洞察など,言語に対して暗示的で示唆深い一面も見せていて,エンターテイメントとして成立しつつも知的欲求に応えるかなりの良本だと思った.

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