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ポンパドール・パラソル:野望編

旅行記や建築の話を書くブログです。

住宅の耐震性チェックポイントまとめ

昨日,深夜に地震があって,怖い思いをした人も多かったんじゃないでしょうか.
そこでぼくは,これまでに被災地に行って調査したり耐震診断を何件かやった経験から,素人でも可能な住宅の耐震性のチェックポイントをいくつか紹介して,たまには皆さんの役に立ちたいと思いました!
今回対象とするのは,一般的な三角屋根の木造住宅ですが,基本的な部分はコンクリートでも鉄骨でもそう変わりないので,あくまで目安程度ですが(詳しい部分は専門家にお金を払って見てもらってください.),ご自身の住宅をチェックしてみてはいかがでしょうか.

地盤

地盤は,ぱっと見ただけでそれが良質な地盤なのか軟弱な地盤なのか,専門家でも評価が難しいところで,詳細に見るのであればボーリングなどを行って地層構造を分析する必要があります.
今回はそういったことをしないで,大まかに判断する方法を紹介します.

内閣府防災情報のページ−ゆれやすさマップ
内閣府が公表しているゆれやすさ全国マップです.これは1kmメッシュで地震時に地盤の揺れやすさを数値で表したもので,ご自身の住宅がどのような地盤に属しているか判断する目安となります(1kmメッシュは地盤の性状を論じるにはかなり粗い分割なので,本当に目安程度で).
その他に,地名から地盤の善し悪しを推定する方法もいくつか紹介されています.中でも軟弱地盤の地名として代表的なのが,

  • 水に関わる地名(池○,○藻,○州,浦○,など)
  • 低湿地に関わる地名(窪,久保,○谷,など)
  • 農耕地に関わる地名(○田,稲○,新開など)

などです.

建物

建物なんですが,チェック項目を5個設けました.

建築年代が1981年以前であるか

というのは,1981年に耐震基準の改正があり,1981年以前の建物と1981年以降の建物には耐震性能において大きな違いがある場合があります.

壁が多いか,少ないか,また偏っていないか

住宅の耐震要素として最も大きいのは,実は壁だったりします(1981年の耐震基準の改正のメインはこの部分です).実際には壁の中に筋交いなどが入っているかが重要なのですが,そこは屋根裏に潜入したりしないとなかなかわかりません.
また,日本の家屋は採光の関係上,南面に大きく掃きだし窓を設けて北面に壁を多く配置したりしていますが,このように北面と南面で(あるいは東面と西面で)壁の量が極端に違うと偏心してしまい,ねじれが生じて具合が悪かったりします.
極端というのはどの程度かというと,どこかの商店街なんかの店舗併用住宅を想像してもらえると良いのですが,ああいう間口に壁がほとんどないタイプの住宅は,たとえば去年の能登半島地震や新潟中越沖地震でも被害が大きかったようです.

屋根材料,重量

地震によって建物にかかる力は,F=m*aが示すように,建物の重量と地震によって生じる加速度の積で表されます.ですので,たとえば二階にピアノなどの重量物を置いていたり,瓦などの重い屋根葺き材を用いたりしていると,建物に作用する地震力が大きくなることがあります.

傷み具合について

過去に大きな地震を経験していたり,あるいは浸水などの被害を受けていると,建物の耐震性能が低下している場合があります.それ以外にも,シロアリ被害や雨漏りなど,長年使用していると発生する劣化などによって新築時に見込んだ耐震性能が発揮されない場合もあります.

建物の平面の形状

平面が長方形に近い建物は,欠点が少ないと言われます.いっぽう,L字型やコの字型の建物は,局所的に力が集中したりして破壊をもたらすことがあるので注意が必要です.

その他の項目

以上で大体要点は抑えられたかと思います.上で挙げた複数の項目の中で,ぼくが個人的にもっとも重要だと思うのは「地盤」「建築年代が1981年以前であるか」「壁が多いか,少ないか,また偏っていないか」の三つです.
また,今回は本当に「誰でもできる」ことを重視したので,いくつか省いた項目があります.念のため,ここにその辺の項目を列挙しておきます.

  • 基礎の方式(形状,鉄筋が入っているか)
  • 増改築の有無
  • 大きな吹き抜けの有無


冒頭でも述べましたが,これはあくまで目安程度で,やはり気になる方は専門家の方に見てもらうのがよいと思います.


以上,ぼくのおせっかいに付き合ってくれた方,どうもありがとうございました!


追記:
今回は本当に素人向けなので,物足りなく感じた方もいらっしゃったと思います.
しかしながら,専門家に(お金を払わないで)聞いても実際にはこの程度だとも思います.
これは,人命に関わることですし,また不動産ですので大金が動く場合もあり,安易に「こうだから大丈夫」,「こうだから倒壊する」ということはなかなか言いづらいためで,実際に自分の家が本当に大丈夫かどうか,というのはやはり個々の住宅を詳細に調査しないとなかなかわからないことが多いです(詳細に調査しても,地震工学にはまだまだ判らない部分がたくさんあって,確率的に処理したりしている部分も多いのでなかなか断言はしにくいのですが).
こういった背景があるため,勇んでエントリをまとめてみたものの読者の方々の知識欲になかなか応えられない部分があり少し残念ではありますが,本エントリが住宅耐震化の促進の一助となれば幸いです.

追記2:
ブクマコメであったけれど,2000年にも建築基準法が改正されています.
ここでそれについて言及していないのは,1981年の改正はより大きなターニングポイントとなっているためで,これは現在でも「1981年以前の耐震基準の建物」や「1981年以降の新耐震基準による建物」といった表現がされるくらいの大改正でした.実際に新潟県中越沖地震,能登半島地震などの近年の被害地震においても1981年以前の建物と1981年以降の建物では被害に大きな差がありました.それに比べて1981〜2000の建物と2000〜の建物ではどちらもあまり被害を受けておらず,大きな差は見受けられませんでした.これらのことから,2000年の建築基準法改正に触れることはしませんでした.

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